SUS304と18クローム
スクラップの中で、ステンレスといえば通常、流通量の多いSUS304のことを指しますが、ステンレスと名の付く鋼材は200種類以上あると言われています。今回はこのステンレスについて大まかに説明したいと思ます。
ステンレスは鉄(Fe)とクロム(Cr)から成る合金で、そこに別の金属を添加することで様々な特徴を持ち始めます。スクラップとして大別すると、磁性がなくニッケル(Ni)を含むSUS300系と、磁性を持ちニッケルを含まないSUS400系に分けられます。スクラップ業では便宜上300系をステンレス、400系をクロームと呼んでいます。一般的に300系はニッケルをはじめとしたレアメタルを含んでいるため、400系よりも高価ですが腐食や耐久性に優れています。
それでは300系と400系の代表的な種類を紹介していきたいと思います。
300系ステンレス
組成(鉄以外の割合) | 特徴 | |
---|---|---|
SUS304 | 18Cr-8Ni | 300系の中で代表的なもので、スクラップでステンレスと言えばこれを指す |
SUS310 | 25Cr-20Ni | 耐熱、耐食性に優れており、燃焼装置や航空部品に使われている |
SUS316 | 18Cr-12Niー2Mo | 海水などの腐食に強く、配管や船舶部品などに使われている |
400系ステンレス
組成(鉄以外の割合) | 特徴 | |
---|---|---|
SUS430 |
18Cr | 400系の代表的な鋼種で厨房器具など幅広く使われている。通称18クローム |
SUS410 | 13Cr |
クロム含有量が少なく安価。刃物などに使われている |
ここまでは300系と400系の鋼種の紹介をしましたが、それぞれの代表的な鋼種であるSUS304と18クロームについて違いを簡単な表にしてみましたので比較してみて下さい。
SUS304 | SUS430 | |
---|---|---|
組成 | クロムとニッケル | クロムのみ |
磁性 | 無 | 有 |
耐食性 | 優 | 鉄より優れているが、304には劣る |
価格 | 高 | 低 |
別名 | 18-8ステンレス | 18クローム |
今回は非常に似ている二つの金属、SUS304と18クロームについて紹介させて頂きました。二つはステンレスというくくりでは同じ仲間ですが、スクラップとしては別物だということです。
判別できない時は磁石を当ててみて下さい。磁石が付けばクローム、付かなければステンレス304ということになります。私達専門業者でも目視だけで判別するのはかなり難しいので磁石を使っています。とにかく『ステンレスを見たら磁石を当てる』これを習慣付けていただければ一番かと思います。それではまた次回。