鉄のお話 ③

 いままでの鉄のお話ですが、1回目は【歩留り】、2回目は【サイズ】についてでした。今回は【相場】についてのお話です。

 スクラップ全般に言えることなのですが、必ず相場の変動の影響を受けて価格が上下します。当たり前のことですが手持ちの在庫が上がれば儲かりますし、下がれば損をします。常に上がり続ければ良いのですが、現実そのようなことはあり得ませんし、あくまで原料ですのでスクラップが高すぎると製品価格も上昇し消費者の負担も大きくなります。ではなぜ相場は変動するのか?というテーマでお話ししたいと思います。

1. 需要と供給のバランス

 およそ全ての相場変動するモノにおいては需要量と供給量のバランスで値段が決まりますが、スクラップにおいてもそれは起こります。例えばあるメーカーが、この先販売増が見込まれるとして増産しようとして原料であるスクラップの購入を増やそうと考えます。しかしスクラップの発生が少ない場合、他のメーカーより購入単価を上げて集めようとすることで相場が上昇していきます。逆に販売量が落ち込む見通しがあり減産するためにスクラップの購入を減らしていくと、世の中に出回っているスクラップが余りはじめて相場は下落していきます。

2. 外的要因

 スクラップは諸外国に輸出される国際商品としての側面もあり、近年は新興国など海外への販売も盛んに行われることで世界的な相場の変動に左右されることも多くなっています。国内メーカーより海外のメーカーの方が高い金額で購入するとなれば自然と輸出量は増えていきます。記憶に新しいところでは2008年の北京オリンピック直前までのインフラ投資による記録的高騰や、その直後のリーマンショックに伴う大暴落などがあり、様々な要因によって相場は変動していきます。2016年現在は中国の景気減速による「鉄余り」によって世界中のスクラップ価格の低迷が続いています。

3. 為替

 当然の話ですが、輸出入出来る商品ということでもちろん為替の変動の影響を受けます。例えば鉄スクラップが10㎏=1ドルだったとすれば、1ドル=100円の時より、1ドル=120円の時の方が日本国内では20円値上がりしたことになります。大まかに言えば円安になればスクラップは上がり、円高になれば下がっていきます。


 以上の3つが、スクラップ相場を決める要因として主なものです。年間を通して相場が1キロ当たり10円ほど変動することもあるので、お問合せいただければ現在の状況をお伝えしております。今回は変動する【相場】というお話でした。

 これまで3回ににわたってお話しした 鉄を高く売るには? というテーマでしたが結論をまとめると

  ① 厚みのあるものをまとめる

  ② 長いもの、大きいものは細かくする

  ③ 相場の高いときを狙う

上記の3点が高く売るコツとなります。皆様もぜひご参考にして下さい。

とりあえず今回で 『鉄のお話』 はひとまず終わりになります。ではまた次回…。

 

2016年09月29日